「星の王子さま」は実は、悲しいお話だった!

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誰でも一度は聞いたことのあるアントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ作「星の王子さま」。実は、悲しいお話だったとは。10年以上前に読んだ際にはわからなかった内容でしたが、最近になって、知りました。

あらすじ

大きなあらすじとしては、語り手=私が、乗っていた飛行機がサハラ砂漠に不時着し、王子さまと出会うのです。王子さまは、バラの花から辛い思いをさせられて、ある星から逃げてきた。そして、私に出会い、キツネに出会い、そのキツネに破滅へと追い込まれ、蛇に出会い、最後はその蛇の毒に自分の足を噛ませ、自殺してしまう……

でも、当時は、全く内容が分からず、王子さまが、自殺していたなんて、気づかなかったのです!

翻訳者のねじ曲げ

アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリはフランスの作家で、フランス語で書かれた「星の王子さま」を、原書で読めない人は、どうしても翻訳本を読むしか内容を知ることができません。

だから、翻訳者によって、作家の意図した内容を捻じ曲げられても知る由がないというのは恐ろしいことです。

実際、星の王子さまが翻訳者の思想によってねじ曲げられていたのだということがわかりました。

それがこの「誰が星の王子さまを殺したのか」(安冨歩著)という本です。

著者は、星の王子さまは、王子さまがバラからモラルハラスメントを受けていた物語だったというのです!

作者は、この本で、サン=テグジュペリが特に伝えたかった言葉「飼い慣らす」を「仲良くする」に翻訳している翻訳者が多いということを指摘しています。私が、過去に読んだ本をもう一度読み返してみると、確かに、そう翻訳されています。

王子さまは、種から大事に育てていたバラの花から自分が「飼い慣らされていた」とキツネに教えられ、バラからモラルハラスメントを受けていたことを知り、ひどく傷つくシーンがあります。

「飼い慣らす」と「仲良くする」って全然ニュアンスが違います。「仲良くする」は対等なのに対し、「飼い慣らす」は、一方が他方より上位な感じがします。

私が読んだ倉橋由美子訳の「星の王子さま」のあとがきには、「飼い慣らす」を「仲良くする」と曖昧に訳しておきましたと堂々と書いています。このように、翻訳者によって意図的に原作を捻じ曲げてしまっているのです。

これって、怖くないですか?

10年以上前に星の王子さまを翻訳本で読んだ時、意味がわからなかったのは、原作者の意図通りに翻訳されていなかったからだと、その謎が解けました。

翻訳本の恐ろしさ

「星の王子さま」で原作者が何を伝えたかったかについては、興味がある方は、紹介した「誰が星の王子さまを殺したのか」を手にとって読んでみると、悲しい内容を知ることができます。

私が、ここで言いたかったことは、「星の王子さま」の内容ではありません。

翻訳本は、必ずしも原作者の書いたまま翻訳がされているとは限らないということ。むしろ、翻訳本は、原作者の意図とは異なり、翻訳者の意図や思想でねじ曲げられている可能性だって考えられること。

翻訳本をそのまま原作どおり思ってはいけない……ということでした。

外国の本がたくさん日本語に翻訳されていますが、小説や哲学書など、原作者の意図を知りたいものは、翻訳者の意図が入り込んでいないだろうか……と疑ってみて、別の翻訳者と比較して読んでみようと思いました。

そして、某テレビ局がウクライナ避難民のインタビューの内容を、字幕で意図的に改変していたと発覚するなど、私たちは、ニュースさえも、信じてはいけない。鵜呑みにしてはいけないんだと思いました。

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