早期退職した話(その4)

早期退職した話

早期リタイアを決意して

 2020年3月に早期退職すると決意したのが2019年6月頃のこと。それからはとても清々しかったのを覚えています。

 あんなにあれこれ思い悩んでいたのに、不思議なことに、決意してからは悩みは全てなくなり、とても心が軽く穏やかになっていました。

 決心した後の強さ、潔さみたいな。

 今思うに、本を読んだり、シミュレーションしたり、天秤にかけたりして、自分の本当にやりたいことを「よし、これでいいんだ」と勇気を持って選ぶことができたからだと思います。

 もし、本当は辞めたいのに、将来不安だからと自分に言い訳して今も仕事を続けていたら、多分今でも、辞めようか辞めまいか、ずっとウジウジ悩んで、辛い思いをしながら幸せじゃない日々を送って、時期を逃してどんどん年をとっていたのかもしれません。

 そう考えると、怖い! 

 早期リタイアを決めてほんとに良かった!

 勇気を持って決断してくれた、あのときの自分に本当にありがとうと言いたいです! 

 そして、快く賛成してくれた両親や兄弟にもほんと感謝です。反対されても辞める意思は固かったのですが、それでも、賛成されないと凹みますよね。だから、家族が快く賛成してくれたことはとても心強くなりました。

 「早期退職した話」も4回目。

 今回は、早期リタイアを決意してから退職日に向けて何をしたか、その行動についてお話ししたいと思います。

図書館へGO!

 退職するのはもちろん、初めてのこと。だから、辞めるにあたって必要な情報を集めることにしました。

 耳学問的に、退職したら税金や国民年金、国民健康保険は自分で手続きをしないといけない、と以前聴いていたことがあったので、これはすぐにでも勉強しなければと思い立ち、図書館へ本を探しに行きました。

 当時の自分は、毎月、給与から、たくさんの所得税、住民税や年金の掛け金、介護保険やら健康保険額が差し引かれていながら、そのしくみを全く知らないし、給与明細額の差し引き額にあまり興味を持たないで日々暮らしていました。

 サラリーマンの多くは、給与明細書をさらりと見て、給与が上がらないとか、税金が高いなとボヤく程度で終わっているのではないでしょうか。

 退職後は、税金も国民年金も全部自分で支払っていかなければならない。だから、そう思うと、きちんとしくみを知りたいと思いました。

 そこで、図書館で見つけた本は、

 「退職するときの手続き完全マニュアル」(花本明宏/著 ぱる出版)

 「退職・転職の「年金・保険・税金」がわかる本」(新村健生/著 成美堂出版)

  です。

  この2冊は、必要な知識がコンパクトにとてもわかりやすく書かれています。

退職スケジュールの作成

 まず、退職日までの大まかなスケジュールを立てる必要があると書かれていました。

 スケジュールは、直属の上司に退職の意思をいつ伝えるか、ということに始まり、スムーズに退職するまでの業務の引き継ぎ準備や、その段取りについてスケジュールを立てることの重要性が書かれていました。

 そこで、自分的には、伝えるタイミングはいつがいいか。考えました。

 一般には、就業規則では2週間前でもいいとはなっていますが、国家公務員の場合、人事院規則8-12には、「任命権者は、職員から書面をもって辞職の申出があったときは、特に支障のない限り、これを承認するものとする。」と書いてあるだけで、いつまでってのは定められていません。だからといって、職場に迷惑がかかるのも良くないので、伝える時期については慎重に考えました。その結果、翌年の異動について話し合いが始まる8月〜9月頃がいいとまず決めました。

 それと並行して、引き継ぎ準備をきちんと漏れなく行うために、退職日までやるべきリストを作成しました。例えば、引き継ぎ書の作成、引き継ぐ仕事の内容の作成、現場の仕事の処理など、しなければならないことを全て漏れなくリスト化し、いつまでに終わるべきなのかスケジュールを立てました。そして、終了するごとにチェックしていくようにしました。

 実際、振り返ってみて、そう視覚化することで、頭の中が整理でき、スケジュール通り淡々と進めることができ、とても良かったと思います。また、スケジュールを早くから立て、引き継ぎ準備に取り掛かったので、時間的に余裕があり、慌てず滞りなく引き継ぎを行えることができました。

健康保険、年金、税金

 国民健康保険がいいか、職場の健康保険継続がいいか、家族の誰かの扶養に入るか、住民税はどうなるか、国民年金の支払いはどうなるか。これらについては、詳細は前記著書に譲りますが、早めに知っておくと慌てずに済みます。

 再就職する場合としない場合、雇用保険をもらう場合など、それぞれのニーズに応じて退職前に準備すべきことや退職後にすべきことが詳しくかかれているので、早めに情報を収集しておくことが大切です。

 ちなみに、健康保険は家族の誰かの扶養に入れば支払わなくていいようですが、私は、1年任意継続を選択しました。前年度の報酬を基準に算定し、全額負担なので、かなり高額でしたが、一年分を一括支払いしました。

 雇用保険については、自己都合退職の場合、手続すれば失業保険をもらえますが、私は、再就職する予定はなかったので、失業保険の申請は行いませんでした。

 60歳まで支払う年金は一括払いが結構お得です。お金に余裕があれば一括払いをおすすめします。2年一括払いで15、000円近くお得です。

 住民税は6月に支払うのですが、前年度の報酬を基準に算定するので、退職後無職でも高額でした。それ以来、住民税をこんなに支払っているのだからと、図書館などの公共施設を大いに利用しています。

 まとめ、退職後、まとまったお金がかなり必要になりますので、ある程度現金をストックしておくことが大切なんだと思いました。

退職する理由について

 早期リタイアを決意したものの、いざ、上司へどう伝えるかについても結構悩むところです。

 まず、そこで、理由について例文があるかな〜とネットで検索してみたら、ありました! 

 「退職理由で伝えていいこと、伝えないほうがよいこと分類」(みらいみゆきコンサルタント事務所代表 大場美由紀氏)という記事を見つけました。

 円満に退職するには、「上司に相談する前には納得してもらえるような正当性のある、前向きな退職理由を用意しておきましょう。」とありました。また、これまでお世話になったことに対する感謝の気持ちや、退職後もこのつながりを大切にしていきたい気持ちを表すことも円満退社には大切なことです。ともありました。

 また、「本音ではネガティブな理由がありながらも円満に退職される方の大半は、本音をそのまま伝えることなく、嘘をつくことは社会的にはNGですが、建前というのは「表向きの方針」とも言われ、むしろ必要な場合もあるのです」ともありました。

 私の本当の退職したい理由は

「部下からも上司からもこき使われ、やりがいのない仕事。こんなところでもう働けるかぁっ!」

「体が若いうちに早く自分の人生を自由に楽しく生きたい!ここはもう自分の居場所じゃねえんだよっ!」でした。

 こんなふうに言えたらスッキリするかもしれませんが、明らかにNGですよね(笑)。

 じゃあ、なんと言えばいいか。

 結婚しますとか、転職するためでもないので、嘘はつけないし、体調が悪いは絶対嘘だとバレるし、マイナス理由も好きじゃないので、本音をプラスな言い方に変えようと思いました。

 そこで、私が考えに考えてねった理由はこちらです。

 「先日、父が怪我をして病院に付き添ったりしました。一週間の入院で済みましたが、その間思ったのは、これからは、高齢な両親のそばにいて親孝行したい。家族との時間や自分の時間を大切にしたいと思うようになりました。」とこんな具合に伝えました。

 実際、父親が転んで頭を打ち、脳出血で病院に一週間ほど入院して、命の別状なく退院しましたが、その間、仕事が忙しくてなかなか休めなかったのは事実です。今後、何かあったときに、仕事が休めず、家族の死に目に会えないなんてことにはなりたくないなと思うようになりました。だから、理由として嘘はついていません。

 私が早期リタイアをする本当の価値においていること

「自分の時間、大切な家族との時間を大切にしたい」です。その本音を綺麗にうまく伝えられたのではないかと思います。

早期退職の意思を上司に伝えてから

 その日からは、毎日が楽しくて仕方がありませんでした。

 1日、1日をスケジュール管理表でチェックしながら、終えていく毎日。今日という日が本当に最後なんだと思うと、自分をこきつかう上司や部下へも愛おしい気持ちで眺める余裕がありました。

 採用試験に合格したときのこと、新採の頃の自分、楽しかったこと、辛かったこと、苦労しながら頑張ってきた自分を走馬灯のように思い出し、目頭が熱くなることもありました。

 一日一日がこんなにも楽しいと思って仕事をしたことは今までなかったんじゃないかと思うほど、きちんと仕事をこなす楽しさを噛み締めていました。そして、退職日に一日、一日、近づくたび、ウキウキした気持ちを抑えながら仕事をしていました。

 国家公務員は、公募制の早期退職制度があり、11月1日から始まる公募に申し込みをしました。たとえそれが認められなくても辞めると決意していたので、認められたら儲けものという気持ちでした。

 そして、2019年12月24日、その公募制の早期退職が認められ、定年退職と同程度の退職金を貰えるという通知をもらったときは、とても嬉しくていいクリスマスプレゼントになりました。

 退職することを上司に伝えてから、周囲には内緒にしていましたが、きっと誰かの耳に入って噂になることもあるだろうと覚悟していました。だから、せめて、部下と親しい人には、私の口から伝えた方が誠意だと思い、12月24日、部下と親しい方にだけ伝えました。

 それは、今振り返って、誠実な対応ができて良かったと思っています。

 次回は、退職までの手続きや、エピソードをお話しいたします。

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