早期退職した話(その2)

早期退職した話

早期退職を考え始めてから〜臆病な自分との戦い(人生・生き方について)

自動ブレーキシステム作動!

 2019年の年明け頃に、早くて来年2020年3月かその翌年の2021年3月には仕事を辞めたいなと考えるようになったのですが、

 そのまま突き進んで行くかと思いきや、それを阻むものが現れました。

 それは、心の中の臆病な自分でした。

 その臆病な自分によって、「自動ブレーキシステム」とやらが作動し始めたのです。

 人は新しい変化を起こそうとすると、深層心理にある「自動ブレーキシステム」が作動するようになっているらしいのです。安全地帯(=現状)から一歩外へ出ると、未知のことがいっぱいです。危険もあり、失敗する恐れがありますもんね。

 それは、人間にとって、自分を守るために正常なことらしいのです。

 逆に言えば、臆病な人ほど、より安全なのです。

 しかし、その素晴らしい「自動ブレーキシステム」が作動したために、早く仕事を辞めたい自分とそれを阻もうとする自分。その両者の戦いが始まりました。

甘い考えじゃないの?

 仕事が辛いから、人間関係が合わないから、辞めるってちょっと甘い考えじゃないの?

と別の自分が問いかけてきます。

 世間には、辛い人はもっといるんだよ。

 高い給料をもらって、幸せじゃないの。

 あと、4年そこらで退職なんだし、もう少し頑張ってみようよ。

 4月になったら合わない人も異動していくから大丈夫だよ。

 好きなことは、仕事の合間にうまくやればできるよ。もっと、仕事の効率化をあげる本を読もうよ。

 次から次へと別の自分がささやき始めました。

定年まで仕事を全うするのが美徳である。

 定年まで勤め上げ、皆から花束を贈られて職場を去って行く先輩たち。ご苦労様でしたとねぎらいの言葉をかけられ、花道を歩いて去って行く満面の笑みの先輩たち。その背中を、私は羨望の眼差しでずっと見送って来ました。

 長い間勤め上げた満足感。私も、ああなりたいと思い描き、今までずっとそれが美徳だと疑いもしませんでした。

 だから、定年前に辞めることは、その美徳に反するのではないか。

 最後まで成し遂げずに途中で投げ出してしまうことにはならないか。

 仕事を最後まで全うしないでいいの?

 別の自分がそうささやいてきました。

救ってくれた人、本

 一応正当性があるかのような心の声の説得に、葛藤しながら、早期退職はしないほうがいいかな……と負けそうになっていた矢先、救世主がおりました。

 まず、その人は、笑い芸人のヒロシさんです(今は、心で師匠と呼んでいます。)。

 当時の楽しみの一つは、YouTubeで面白い動画を見ることでした。

 そんな中、お笑いのヒロシさんのキャンプ動画に出会いました。

 ヒロシさん曰く、ただ、キャンプを楽しんでいるだけの動画だということですが、それが、私にはどハマりでした。

 鳥のさえずり、川のせせらぎ、風の音、焚き火の炎、パチパチとする焚き火音、簡単だけれど、うまそうな匂いがしてきそうな料理、焼く音、ヒロシさんが美味しそうに食べる雰囲気。ヒロシさん目線と一緒に、自分も体験しているかのような感覚で癒されました。

 ヒロシさんはメインに映らず、ソロキャンプを楽しんでいる様子を見せているだけのその動画は、作り込んでいない素朴さを見せつつ、けれど、ヒロシさんがとても楽しく豊かに、贅沢な時間を過ごしている様子が伝わって来ました。それが、とても羨ましくて、自分もあんなふうに自由で、豊かで贅沢な時間を過ごしたいなぁと思いながら見ていました。

 ヒロシさんのキャンプ動画ファンになってしばらくして、ヒロシさんとホリエモンこと堀江貴文さんとの対談動画で、ヒロシさんが著書「働き方1.9  君も好きなことだけして生きていける」を出版されたことを知りました。この本に込めたヒロシさんの考え方を知り、この書名にとても心惹かれて、2019年1月頃に、早速、買って読みました。

 そこに書いてあった内容は、まさに、その時の私に必要なことが書いてありました。救世主降臨です。

 そして、2人目は、私の良き理解者である妹です。

 ヒロシさんの本には身内は特に反対するから相談するのは気をつけろとありましたが、妹は、私の一番の理解者で早期退職を一番応援してくれました。

背中を押してくれた言葉、考え方

 まず、ヒロシさんの本には、ヒロシさんが経験を通して得た、働くことについての考え方が書かれていました。

 そこには、私を勇気づける言葉や考え方がたくさん詰まっていました。

「苦労すると報われる。そう考える人は、考えることを放棄して、一種のおまじないを信じているのではないだろうか」

「真の失敗は何もやらないこと」

「可能性を自分で潰すな」

「やりたいことがあるのなら、さっさとやりたいことをやるのが一番」

「この無理をしなかったら、最悪こうなるだろう」という状況を想像して天秤にかける。会社を辞めて芸人になった時の最悪は、売れなくてホームレスになることだと考えた。しかし、それでも毎日苦痛な気持ちで出社するよりはいいと思った。そうして僕は無理を放棄し、芸人を目指した」

「定年退職してから始める」とか「子供が独立してから」とかじゃなくて、健康なうちにやりたいことをやっておいたほうがいい。

「好きなことをやるとは自分自身を主役にする」

「無理をして人に気に入られたり、やりたくもないことをやったりするぐらいなら、無理をせず好きなことを自分のペースでやっていたほうがいい。気持ちよく生きること」

「年とったら、ではなく、今やることだ」

 たくさんある中から、特に背中を強く押してくれた言葉たちです。

 ヒロシさんの言葉がこんなにも、私の頭に説得力を持ってスッと入って来たのは、ヒロシさんが苦労した経験を通して得た考え方であり、ヒロシさんに共感する部分が多かったからだと思います。

 私も、人前で発表したり、気の利いた会話や飲みニュケーションが得意じゃないのに、いい上司になるための本、人間関係がうまくいくための本、人前でうまく発表できるようになるためにの本…… にたくさんのお金と労力を費やしましたが、無理して頑張って挑戦しても、結局、うまくいかずに落ち込む日々でした。

 だから、無理をして人に気に入られたり、やりたくないことをやったりするぐらいなら、無理をせずに好きなことを自分のペースでやったほうがいい、というヒロシさんの言葉に肩の力がスッと抜けたのを覚えています。

 また、仕事を最後まで全うせず辞めるのは良くないと悩んでいた自分に、「人は、仕事ではなくて、人生を全うするために生きていると思う」と妹に言われたときは、その奥の深さにハッとしました。

結局は考え方次第!

 自動ブレーキシステムで、早期退職することをマイナスな理由をつけて自分で制御していましたが、今振り返って思うのは、考え方次第なんだということです。

 そして、自分ではなかなか切り替えができないときは、いい本や人に出会うことなんだなぁとつくづく感じました。

 短い人生なのだから、さっさと好きなことをやればいい。定年してからでは、遅すぎる。やりたいことは、今、健康なうちにしかできないんだから。

 人生一度きり、自分の中にある好きなことをしてみよう。

 自分の人生は、自分が主役。

 甘い考えなんじゃなく、自分の人生、無理をせず、自分のためによりよく生きるのは当然の権利なんだ。

 今いる場所が、幸せな場所じゃなければ、自分を活かせる幸せな場所に自由に行けばいい! 

 自分は、仕事を全うするために生まれたんじゃなくて、自分の人生を幸せに全うするために生まれたのだ。

 心の師匠ヒロシさんと妹のアドバイスのおかげで、不思議とこんなふうに考え方を切り替えることができ、一歩前へ歩き出すたくさんの勇気が湧き出てきました。

 次回は、最後に乗り越えなければならない最大の難関、お金の問題についてです。


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