早期退職した話(その5)

早期退職した話

 2020年3月に退職するという意思を上司に告げたのが2019年8月。それから月日が経つのが長かったこと……。

 上司や人事担当者へは連絡していたものの、12月までなんの動きもなかったので、本当に退職できるのかと少し不安でした。

 というのは、公務員は任用なので、支障がある場合は了承されないとか、辞めるのを思いとどまるよう説得されたりする場合があるというのをネットで読んだことがあったからです。

 しかし、一日一日、今日が最後という気持ちを強く持って、丁寧な仕事を意識して、着実に仕事を淡々とこなすと案外集中できました。

 そして、2019年12月、人事担当者から最終の意思確認をされました。意思に変更がなければ令和2年3月31日付で退職したい旨の退職願を出すよう指示されました。その指示を受けたときは、間違いなく退職できるという安心感で、12月20日付で退職願を提出したときは、とてもホッとしたのを覚えています。

 これは、余談ですが、早期退職を人事担当者に話した際、引き留めが全くなかったので、自分は必要な人材じゃなかったのかなぁと少しは寂しい気持ちもありました。後から知ったことですが、引き留めはあまりないということでしたので、無用な心配でした。逆に、国としては、高給与職は早く辞めてもらった方が財政上得策だと考えているのではないかと思いました。一人分の給与で新人2人を採用できるのですからね。

 早く後任者に席を譲り、自分は別の道に行くべしですね。

 早期退職をすることが、皆に知れ渡ったのは2020年2月以降くらいでしょうか。好奇な眼差しで、いろいろ退職理由を聞かれたり、詮索されるかなと心の準備をしていましたが、そういうこともなく、退職日まで楽しく仕事を全うし過ごせたことは、職場の皆さんには本当に感謝しています。

新型コロナ感染の兆し

 自分が早期退職に向けて着々と準備を進めていく中、2020年、年明けごろから新型コロナ感染拡大の兆しが出初めていました。

 社会情勢の流れとしては、「三密」を避けるよう推進し、職場では、感染防止のために対策を講じ始めていました。

 新型コロナがこんなにも猛威をふるい、世界中が厳しい状況下におかれることを誰が予想できたでしょうか。私が退職した2020年3月頃までは、まだ、新型インフルエンザが最初に流行したように、次第に終息するだろうという甘い認識だったと思います。それが、今、オリンピックをも行えない状況になり、社会経済は新型コロナの前では衰退の危機にあります。

 たくさんの人が、この厳しい状況勢の中、新型コロナと戦いながら仕事をしていると思います。もし、自分が今働いていたらどうなっていたかと思うと、このタイミングで退職できたことは、ほんとに奇跡で、良かったとホッと安堵しているところです。

 これも余談ですが、新型コロナのおかげで、送別会は一切なかったのですが、寂しいと思うどころか、逆に、ひな壇に立たされて、苦手な挨拶をすることもなく助かりました。

おわりに

 2020年3月31日、いよいよ念願の退職の日がやって来ました。

 当日、2枚の辞令交付がありました。

 1枚は、辞職を承認するというもの。もう1枚は退職金「〇〇を支給する。」というもの。退職金額を見たときは、自分が計算した額よりもかなり多かったので、これも儲かった気分で嬉しかったですね。

 長年働いた場所で挨拶回りをしながら、親しい方々からお疲れ様というありがたいお言葉とお気持ちや花束をいただき、先輩を見送って来た自分が今、見送られる立場にあるのがとても不思議で、幸せな心持ちでした。

 早期退職をしたい。

 最初は、悩んで、どうしていいのか答えがなかなか出せなくて、苦しい状況の中働いていた自分でした。あのときの自分は、まさか、早期退職できるなんて思ってもみませんでした。

 でも、その気持ちが強い思いとなり、決断となって、それを形にすることができました。

 職場を去るとき、ああ、もう明日からここに来なくていいんだ…… 明日から自分は自由なんだ…… と思ったとき、これ以上にない充実感と満足感で胸がいっぱいになりました。

 まだ肌寒い、3月、自分の心には、一足先に暖かな春風が吹いていました。

 柔らかな日差しが降り注ぐ晴れ渡った青空

 あのとき仰ぎ見た空を今でも忘れません。

添え書き

 早期退職を考えてから、辞めるまでのお話しはここまでとなります。いい環境、いい給料を求めて転職するために早期退職したわけではないので、転職を希望する方の参考にはならないかもしれませんが、よりよく生きることを目標に今の職を辞することは同じだと思います。

 私は、心の師匠、至福のキャンパーお笑い芸人ヒロシさんのように、好きなことで自分の時間を豊かに生きるため、こうして念願の早期リタイアを果たしたわけですが、新たな第2の人生はこれからがスタートです。

 早期退職してから1年足らず。見える景色、手に入れた自由は、見た者、得た者にしかわからないとても素晴らしいもので、ホントに辞めて良かったと毎日しみじみ感じながら暮らしています。

 そして、より良い人生にするにはどう生きるか。

 ヒロシ師匠に学びつつ、人生のモットーである、このブログ名にかかげた「豊かな時間」を日々、楽しく追求していきたいと思います。

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