新規就農はハードルが高い

お金の話

現在の物価の急激な高騰は、経済学で説明される、物が売れているから……ではありません。

ウクライナ戦況により、ロシアからの原材料の輸入が制限されたり、円安に起因していると言えます。食糧や原材料をほとんど輸入に頼っている日本の脆さをとても感じる状況です。

憧れの自給自足

私は、以前から自給自足に憧れをもっています。

無農薬で安心、安全な野菜。それが憧れの原点なんです。

YouTubeなどでは、食糧危機がすぐに来るとか、不安になる動画が多い中、それをすぐ鵜呑みにするわけではありませんが、物価高の状況や輸入に頼っている日本の危うさを考えるようになり、自給自足への憧れはますます膨らんでいます。

そこで、買えば、2、300円するバジルやヨモギなどのハーブ、味噌汁の具に重宝する葉野菜をベランダで栽培したり、ネギも根っこだけ切り取って植え付け、1、2回は買わずに済んだりと、小さなことから始めています。強者(つわもの)は、ベランダで、トマト、ナス……いろんな野菜を栽培されているようですね。

そうやって、少しでも自給自足すれば家計の助けにもなりますし、なによりも、手作りのものは安心、安全で美味しい!

都会では、庭を持つのはなかなか難しいので、ベランダで栽培するしかありません。小さくても庭をお持ちの方がとても羨ましいですね。

小さくてもいいから、自給自足ができるくらいの農地って買えないものかな…… 一般人には買えないとわかっていても、何とか買う方法はないかな……といろいろ調べていました。

農地取得は難しい。

農地法上、農業就業者でないと、農地取得は難しい。それは、一応知ってはいますが、なんとか買う方法はないものか。農業に投資することも含め、たまたま、近くで新規就農者のための相談会があり、情報収集のために参加してみました。

農地を取得するための要件は、次のとおりでした。

1農地法の要件
①取得する農地全てについて耕作すること
②農作業に常時従事(年間150日以上の従事)すること
③取得後の農地が市町村が定める面積以上であること
④経営状況、通作距離等と考慮して、効率的な農業経営であること
以上全ての要件を満たす必要がある
2農業経営基盤強化促進法の要件
①取得する農地全てについて耕作すること
②農作業に常時従事(年間150日以上の従事)すること
③農用地利用集積計画の内容が市町村基本構想に適合すること。
④関係権利者すべての同意を得ていること
以上全ての要件を満たす必要がある

何と、要件の厳しいこと。

特に赤字で示したところが、厳しいと思いました。

1の農地法の要件③は、例えば、ある市町村は、50aとのこと。1aは10m×10mの広さで100㎡なので、50aは、5000㎡となります。坪にすると約1,512坪です。

お金がない者にとって、借金しないと買えないほどの広さですね。

農地取得面積の合計が5000㎡でもいいそうなのですが、④にあるように、住居と農地との距離も効率的な農業経営ができる位置関係にあることが要件になっているので、農地の場所があまりにも遠く点在しているのも問題なようです。だから、面積の大きさは、はかなり困難です。

そして、2の農業経営基盤強化促進法の要件である、③だと、自分がやりたい作物を自由に耕作できないようですし、④の関係権利者すべての同意という、つまり、周辺の地権者の同意を得なければならないというのでは、都会から地方に入っていく新参者にはかなりの高いハードルです。

農地賃貸はどうか?

農地を賃貸するには、要件はないようですが、新参者には貸したがらないというのが現実だということでした。使っていない遊休農地がたくさんあるのにです。

見ず知らずの者に貸したくない。そういう気持ちはわからないでもないですが、もったいない話です。

だから、知り合いのツテを頼るしかないということでした。

そうなると、やはり、地元にツテのない新規就農者が農業をするには困難極まりないわけです。

全くツテのない場合、新規就農者になるためには、地域の人との人間関係作りから必要だということでした。県外から参入した人のある事例では、地域のボランティア活動や地域の行事に率先して関わるなどして地域の人との人間関係作りに3か年かかったそうです。

ここまでしないといけないのかと思うと、気が遠くなりますね。

農業に関する統計

まず、農業従事者人口推移は以下のとおり。

年々減っています。

農林水産省統計から抜粋引用

「基幹的農業従事者」とは、ふだん仕事として主に自営農業に従事している者をいう。

そして、耕作放棄地は増加しています。

農林水産省統計から抜粋引用

※耕作放棄地:農林水産省の統計調査における区分であり、調査日以前1年以上作付けせず、今後数年の間に再び耕作するはっきりした意思のない土地をいう。

就農者の人口減少に、耕作放棄地の増加。それなのに、新規就農者のハードルは高く、参入させないようにしているのは、この国の政策は日本の農業やを守りたいのか、守りたくないのかわかりません。

農業委員会が借りたい人と貸したい人をマッチングするなどし、農業委員会が保証して賃貸できるような制度になれば、もっと、農業に参入しやすくなって、遊休農地や耕作放棄地は有効活用できるのに……

農業への投資等、新規参入は難しい

新規で農業を行うことの難しさ。投資目的での農業法人を設立して経営するのはもっと難しいということです。

だから、自給自足の目的ならもってのほか。農地を購入したり、借りたりすることは全く無理な話なわけです。

庭付き一戸建ては都会では無理。

高い賃料を支払って市営農場を借りてするか、雑種地や原野を購入するか。

一般人の自給自足の夢達成へのハードルは高い現実です。

最近、芸能人が、地方で庭付き一戸建てを購入して自給自足をしているのをよく目にします。

ああいう形が一番理想なのかなあと思う今日この頃です。

コメント

  1. 黄金期 より:

    ゆさっぽさん こんにちは。

    我が家も農家。
    しかし、今年から田んぼは親族にお願いし作って貰うことにしました。

    両親は84歳で毎日野菜作りに精を出しています。
    そして私は今は庭造り。

    そんな私が言うのもなんですが・・・・、
    初めは市民農園を借りて作りやすい野菜作りから始めた方が。

    それに耕運機等の農機具が必要で
    その置き場所も必要。

    ただ、両親を見ていると野菜作りは楽しそうです。

    • 黄金期さん、こんにちは。
      農家の方が羨ましいですね。農業を辞めても自給自足できる農地があるのですから。
      ご両親がご健康なのは、野菜作りという楽しみと健康な食事ではないでしょうか。
      市民農園はどこもいっぱいで空きがないのです( ; ; )
      アドバイス、コメントありがとうございました。

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