知らないうちに、締め付けられていく現実

お金の話

怖いお題となっていますが、今回は、税金のお話です。2022年度の税制改正によって、知らないうちに、財産を守ることの厳しさが増して来たというお話です。

上場株式等の配当控除の旨味が消える。

NISAは非課税なので、ここでは関係ありませんが、NISA以外の特定口座で株式投資をしている方は、もちろんおわかりだと思いますが、証券口座に入った配当金にかかった税金が、源泉徴収されたとしても、確定申告をすれば、国税の一部は還付することができます。

特定口座で源泉徴収ありを選択した場合、配当金にかかる税金は一律約20%(国税15%、住民税5%)です。しかし、配当金を総合課税(累進課税)に入れて確定申告をすると、国税について言えば、以下のように配当控除されて、還付することができました。お得なのは、所得が330万円未満の方についてです。だから、年金生活者や低収入者にとっては、とてもお得な制度です。

ただ、確定申告してしまうと、住民税は、課税所得金額に一律の税率(基本は10%)で計算することになり、源泉徴収では5%だった住民税が、10%ととなり、5%多く支払うことになります。

そこで、配当金所得を所得に入れて、総合課税で再申告し、住民税は、申告不要として、所得税と異なる選択をすることができ、そうすると、所得税からは還付金をもらい、住民税は源泉徴収の5%のままという有利な方法を取ることができました。

私も、所得税は総合課税で再申告し、住民税は申告不要を選択し、所得税から還付を受けることができ、この制度はとてもありがたいと思いました。

ところがです。

2023年(令和5年)分の所得税から、税制改革により、別方式を取ることができなくなりました。

たかが、5%〜10%ではないのです。残念!

お金を守るための、庶民の対策は、もうできなくなってしまうのです。

先日受講したFP研修で、講師の話では、改正の趣旨は、所得税と住民税が所得が異なるのはおかしいということで、異なる選択は不可としたということと話しておら得ましたが、そもそも、所得税は累進課税、住民税は一律10%と異なる課税方法を取り、所得控除に関しても異なる点が多いのにも関わらず、そのような趣旨は、税収アップを狙ったご都合主義の論理としか思えません。

副業者に厳しい措置

今、副業を進める風潮があります。サラリーマンでも、副業可とする会社が出て来ています。その流れはとてもいいことだと思うのですが、それに相反する改正がありました。

帳簿の提出がない場合には、10%(不記帳、不保存の場合)、5%(帳簿はあるが記載が不十分)加重されるというのです。

例えば、メルカリで商品を売るのを副業としていた場合、帳簿を作成していないと、税金が加重されるというわけです。いちいち、帳簿を作らないでいるのが、義務化になるわけです。2024年1月1日以降開始ということですが、サラリーマンしながら、副業をする方に、帳簿作成という負担を強いることになります。

副業解禁にしながら、税金を確実に取る。

庶民は、ますます締め付けられる世の中ですね。

その他

住宅ローン控除も、2024年1月1日以降からは、新築のためにローンを組む場合、一定の省エネ基準を満たさなければ控除もできないだとか……。

省エネ基準を満たす建物とは、主に、冷暖房が効率良く効くように、いい断熱材を使い、太陽光発電の設置などをした住宅のことです。でも、これらの設備を整えると新築住宅にかける金額は高額になるのは目に見えています。

住宅ローン控除を受けるために、多額のお金をかけて省エネ基準の家を新築する本末転倒なことにならないように……また、FPとして、安易に勧めることのないように、きちんと見据えないといけない問題だと思っています。

とにかく、庶民にとってはますます生きにくい税制改革だと思いました。

それじゃあ、庶民はどうしたらいいのか。手をこまねいてただ見ているしかないのか。

まず、自分にあった「豊かさとは何か」を考える。

新築すれば豊かなのか、賃貸住まいだと豊かじゃないのか。高価な物を買えば豊かなのか……マスコミや世間などの情報に踊らされることなく、自分自身の「豊かさ」を見出すこと。

そして、見出した自分自身の「豊かさ」の中で、賢く生き抜く知恵と、ブレない強さとたくましさが、これからはとても必要なのかなと私は思っています。

コメント

  1. 黄金期 より:

    ゆさっぽさん。おはようございます。

    もし分かったら教えてください。

    今年の証券会社口座は特定口座の源泉徴収ありとしているので、
    配当金と譲渡益は源泉徴収されています。

    配当金・譲渡益を総合課税にして確定申告すれば、無職の私は源泉徴収されたお金は戻ると思ったのですが、
    ネットをみると戻らないような記載となっています。

    理論的に戻ると思うのですが、もし分かれば教えてください。

    • 黄金期さん、おはようございます。
      ご質問ありがとうございます。
      今年のというのは令和4年12月31日までの配当金と譲渡益のことで、令和5年に確定申告をするということで
      よろしいでしょうか?
      まず、NISAでないということを前提として、
      配当金と上場株式の譲渡益の申告方法は、配当金は、総合課税で申告して、配当控除できますが、株式譲渡の場合は、分離課税でしか申告できません。
      配当金からの還付は、ネットのどの情報を見たのかわかりませんが、総合課税で申告すれば配当控除できることになっています。
      つまり、一部還付金として戻るということです。
      無職であろうと、所得金額で配当控除割合が分かれています。国税庁のホームページの方が確かなので、
      そちらを確認してみてはいかがでしょうか。もし、ご不明なら、またお聞きください。
      「https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1250.htm」

      譲渡益とは、株式譲渡による所得のことだと思いますが、これは、総合課税として申告できる対象ではなく
      分離課税で申告して、損益通算をすれば多く取り過ぎた分は、還付できることになります。
      国税庁ホームページ
      「https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2220.htm」
      「https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1474.htm」
      こちらをご覧になってもご不明な場合は、また、お聞きください。

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